抄録
本研究では虚記憶の生成を説明する活性化-モニタリング理論とファジートレース理論のどちらが支持されるかを,自己選択効果が虚記憶の生成に与える影響を用いて検討した.自己選択効果とは,複数提示される記銘項目の候補の中から,実験参加者自身が選択した項目を記銘するほうが,あらかじめ実験者によって決定されている項目を記銘する場合に比べて記憶保持が優れる現象のことである.本研究ではルアー語を連想する単語リストを用いて虚記憶を検討した.実験参加者は大学生22名であった.実験参加者は4つの単語リストを,自己選択条件及び強制選択条件の2つの実験条件で学習した.その後再認テストを受けた.その結果,リスト語とルアー語で自己選択効果が見られた.したがって,リスト語およびルアー語で自己選択効果が見られたことから,活性化-モニタリング説が支持された.