抄録
人称代名詞によって,自己化の程度を操作した日本語3文からなる材料を大学生36名に読ませ,その読み時間を測定した。人称代名詞(3水準)×文の位置(3水準)の分散分析の結果,交互作用に有意な差は認められなかった。一方,人称代名詞と文の位置の主効果に関してそれぞれ有意な差が認められ,多重比較の結果,第二人称≒第一人称<第三人称の順で,第3文<第2文<第1文の順で読み時間が長かった。これらの結果は,英語話者による英語材料の読み時間の結果と文の位置の効果に関しては一致したが,人称の効果に関しては一致しなかった。第三人称の方が第一人称および第二人称よりも読み時間が長いといった結果は,第三人称の場合には自己の視点にちかづけるために他の人称材料を読んでいる時には行わない処理をしている可能性が考えられる。