抄録
【はじめに】語生成メカニズムにSwitching機能とワーキングメモリ(WM)容量が与える影響について検討した.【対象】右利き健常成人28名.平均年齢22.46(±3.26)歳.【方法】(1)日本語版リーディングスパンテスト:正再生率をもとにWM容量のHigh Span群,Middle Span群,Low Span群の3群に分けた.(2)語流暢性課題(カテゴリー条件・語頭音条件・動詞生成条件):60秒以内に出来るだけ多く口頭表出する.刺激語は各条件4語の計12語を用いた.(3)変動型語流暢性課題(同条件):15秒毎に呈示される刺激語に対して出来るだけ多く口頭表出する.課題時間は各条件90秒(15秒×6単語)とした.【結果】カテゴリー条件と他条件の生成語数,およびHigh span群と他群の生成語数で統計学的に有意差を認めた(p<.01).【考察】語生成の際,カテゴリー条件でのSwitchingが他の条件よりも干渉作用が少ないことが示唆された.さらにWM容量のHigh span群は語の生成能力に優れていることが明らかとなった.