抄録
本研究では,既往最大規模の降雨波形(気象庁の歴代最大日降水量,H23新潟・福島豪雨,計画降雨量)を基に,上流域の集水面積を単純に乗じたハイドログラフを3案設定した.また,国内の代表的な急流河川に囲まれた富山市において,2河川で同時に複合洪水が発生した際の避難所に与える影響を考察した.
神通川と常願寺川で同時に洪水が発生することを想定し,3つの仮想流量を境界条件とした非定常平面2次元流計算を行った.H23新潟・福島豪雨の降雨量から作成したハイドログラフを用いた場合が,最も浸水面積が大きくなり,富山市面積の15.3 %が0.1 m以上浸水するという結果が得られた.また,避難所の危険度評価を行った結果,全施設合計13,944人,富山地域の住民4.3 %が避難所を失う結果が得られた.