心因性の身体反応に関する因果的説明を検討した。実験1では,4・5・8・11歳児(n= 69)と大学生(n = 21)に,身体性の身体反応(「食べ過ぎによる嘔吐」など)と心因性の身体反応(「緊張による嘔吐」など)がなぜ生じるか説明を求めた。生気論的説明(活力による説明)は,幼児および小学生の間では,身体性の身体反応について多かったが,大学生になると,心因性の身体反応について多く認められるようになった。実験2では,5・8・11歳児(n = 96)と大学生 (n = 24)に,身体性・心因性の身体反応 と心理的行動(「緊張によって爪をかむ」など)の説明を求めた。実験 1同様,生気論的説明は年齢があがるほど,心因性の身体反応について多くなったが,心理的行動についてはどの年齢群でもほとんど認められなかった。以上に基づき,生気論的因果の質的変容と,それが心因性の身体反応の理解に果たす役割を議論した。