抄録
意図記憶における自己選択効果の大きさが選択規準によって異なるか否かを検討した。Toyota(2011)において快な出来事と不快な出来事を想起させる場合に自己選択効果の違いがあったので、選択規準によって自己選択効果の出現が規定されるか否かを検討した。参加者に対して、快語と不快語からなる単語対を呈示し、自己選択条件において2つの単語のうち、嫌な出来事が想起される語を選択させ、記銘させる場合と、良い出来事が想起される語を選択させ、記銘させる場合を設けた。強制選択条件においても同じように、嫌な出来事もしくは良い出来事を想起しながら、指示された語を記銘させる場合を設けた。嫌な出来事を想起された場合には自己選択効果(自己選択>強制選択)が認められたが、良い出来事を想起させた場合には自己選択効果は見られなかった。この結果は、選択規準(BadもしくはGood)によって自己選択効果が規定されることを示した。