抄録
画像の方が言葉よりも記憶に残り易いという現象は画像優位性効果と呼ばれる。これに関連し、近年、パスワード等を用いた従来の本人認証システムに代わるものとして、画像を用いた画像認証システムが提案されている。しかし、使用される画像種類による違いや,認証という反復テストの効果やダミー画像の反復呈示の影響に関しては未検討である。そこで本研究では、実験参加者が持参した自伝的記憶画(autobiographical picture; AB画像)及び実験者が用意した画像の中から参加者が選んだ自己選択記憶画像(self-selected picture; SS画像)という2種類の画像を使用し、長期の再認実験を実施した。3週間毎に2回の再認を実施した結果、AB画像のほうがSS画像と比べ再認成績が高かったが、いずれも3週間の遅延にもかかわらず再認2回目の方が再認成績は向上しており、テスト効果が示唆された。加えて、以前に見たダミー画像を再使用することにより再認成績が低下することが示された。