抄録
目標志向的行動は,適切なときに開始し,適切なときにやめるのが理想的である。しかし,他の事柄に継続的に注意を向けている状況では最適なパフォーマンス を発揮できるとは限らない。本研究では,速いペースの継続的なGo/No-go課題の遂行と同時にプローブ反応課題を行った。プローブ反応課題について は,画面にプローブが提示されたら反応をはじめ,消えたら反応をやめることになっていた。強力な優勢反応を喚起する89%-Go試行の課題と比較的に優勢 反応の形成の弱い11%-Go試行の課題の2種類を実施した。反応時間は,プローブが現れた反応開始の際には89%課題と11%課題で異ならなかったのに 対して,プローブが消えた後の反応終了の際には89%課題で大きく遅延した。11%課題では反応開始と反応遅延の際の反応時間には違いはみられなかった。 優勢反応が形成された状況における目標志向的行動の乱れは,開始の際ではなく終了の際に特異的であることが示唆された。