抄録
本研究では,タブレット端末の継続型ユーザビリティテストを実施し,加齢による認知機能の機能低下と人工物の操作学習の関係を検討した。実験の結果,単純な操作系列で構成された操作学習に対して認知機能の個人差の影響は認められなかった。しかし,5週目のアプリケーションの操作を求めた課題の成績に対して,課題切替課題,記憶課題の個人差が影響していた結果からは,(1)複数の目標で構成された操作系列で構成されたアプリケーションの操作学習には,タスクスイッチング機能の機能が関与していること,さらには操作履歴を記憶するための「記憶」の機能が関与していることが示唆された。以上からは、加齢による認知機能の低下が人工物の操作学習に対して負の影響を及ぼしており、それらの認知機能が人工物の操作学習を支える認知的要因であることが示された。