抄録
作業において、作業途中の行い方(作業プロセス)は作業中の認知プロセスと密接に関わっていると考えることが出来る。本研究では、水の秤量作業をモデルケースとして、作業プロセスに与える影響をパラメータを用いて定量的に表現する手法の開発を行った。具体的には、作業の中での作業者の目的達成に向けたアプローチの仕方を、メスシリンダーにおける水の上がり方として計測し、作業内容や作業が置かれた状況を項とした数式モデルでフィッティングすることで、各作業者が有する内在的なパラメータを抽出した。その結果、繰り返し同じ作業をした際の学習効果や、直前の作業の最終結果による心理的影響といった各要因に関する値が作業者ごとに固有値ベクトルの形で得られた。また、この固有ベクトルを用いて作業プロセスの影響の受け方を考察した。