抄録
長・原口(2012)は,絵画の秩序は規則性と単純性の2軸で構成され,やや規則的で単純性と複雑性の中間にある絵画の評価が高いことを示した。しかし,ヘドニックトーンと面白さは異質のものと指摘されているため,本研究では絵画の秩序と評価の関係について,評価をヘドニックトーン,面白さ,楽しさ,好ましさに分けて検討した。規則性と単純性の主成分得点を説明変数,各評価性得点を目的変数とした2次曲線の回帰分析を行った結果,規則性に関しては各評価すべて説明率が高く,単純性に関しては面白さのみ説明率が高かった。2主成分得点によるクラスター分析の結果,12枚の絵画は4つのクラスターに分かれた。分散分析および多重比較の結果,ヘドニックトーンと好ましさは評価性全体と同じ結果となったが,面白さと楽しさは,異なる結果となった。これらの結果から,面白さと楽しさは,他の評価性の項目とは異なる性質をもつ尺度であると考えられる。