Jカーブ効果とは,不快情動を伴う広告の商品評価が遅延によって不快から快に転じる効果を指す.Matsuda & Kusumi (2007) は,Jカーブ効果生起には情動インパクトが重要であり,遅延によって情動の強度のみが持続し,商品と情動情報との連合が低下することで生じることを示した。先行研究では画像の情動価条件を操作して検討が行なわれていたが,本研究ではそこに商品カテゴリーとの調和度を要因に加えた。商品カテゴリーと調和している情動画像と商品には関連していない情動画像との比較を行うことで,商品カテゴリーと情動画像の関係性が両者の連合形成に及ぼす影響について検討した。実験の結果,広告のJカーブ効果は “情動情報と商品が調和していること”“遅延によって情動刺激と広告の連合が切れること” “商品自体の記憶は残っていること”の3つの要因により生起することが示唆された。