抄録
我々の日常生活における行動の多くは感情によって無意識に左右されるが、好みがどのように我々のパフォーマンスを変化させ、脳活動として変化しているかについては不明な点が多い。従来研究によって、注意や記憶などの認知機能は主に大脳皮質で処理されるのに対して、感情に関係する脳活動は内側の大脳辺縁系に多いことが報告されている。我々はこれまでに主観的好みや視覚的注意に関係する脳波リズムを特定してきた。しかし両者がどのように関係してパフォーマンスに変化を及ぼすかは分かっていない。そこで本研究は色の好み強制2択課題時の脳波測定を行い、主観的好みと視覚的注意に関係する脳波リズムの相互作用を分析した。その結果、後頭連合野シータ波が視覚的注意に関係すること、これは好みに影響されることを示した。さらにこれらが好みに関係する前頭連合野ベータ波と相互作用することで、視覚的注意のメカニズムが変化することが分かった。