物体認識や心的回転を遂行するためには,物体の既知の景観から未知の景観を予測するための回転変換を実現する必要がある.本研究では景観予測に必要な回転変換自体を学習するGRBFネットワークモデルを提案する.ペーパークリップ物体が鉛直軸回りに回転する際の動画像系列を用いて,物体のある時刻における景観と1つ前の時刻の景観を入力とし,1つ先の時刻の景観が出力されるようモデルを学習させた.この学習により,モデルは学習に用いられた物体だけでなく,未学習の物体に対しても回転後の景観が予測できるよう般化することを確認した.また,出力される景観予測を入力へフィードバックすることで,より大きな回転に伴う景観予測が可能であるかを検証したところ,50度程度の回転に対しては85%以上の正答率での予測が可能であった.さらに,回転角度の増加による予測精度の低下が,物体再認の心理実験の結果とうまく整合することが示された.