抄録
Smith & Manzano(2010)が自由再生における非常に大きなビデオ文脈依存効果を報告して以来,いくつかの研究がその効果を確認している。本研究は,ビデオ文脈の動的視覚情報と聴覚情報といった構成要素のいずれがこの効果の大きさを規定しているのかを検討することを目的とした。ビデオ要素(音あり vs. 音なし vs. 静止画像;参加者間)×文脈の同異(同文脈 vs. 異文脈;参加者内)の2要因混合計画を用い,大学生を20名ずつ3群に割り当てた。28単語を,単語とは無関連な28個のビデオクリップ(または静止画象)を文脈として,1項目5秒ずつ提示し意図学習を行い,30秒後に口頭自由再生を求めた。その結果,文脈の同異の主効果のみが有意となり,実験前に予想していた交互作用は有意ではなかった。この原因として,本実験の手続きが非常に文脈依存効果を生じやすいものであったことが示唆される。