本研究では田村・赤須・木藤(2008)と盛﨑・高・木藤(2010)における問題点を指摘し,日本人に関しては新たにデータを取り,中国人のデータと合わせて分析をし直すことで日本語オノマトペの言語音と喚起される図形的なイメージの関連を検討した。日本人と中国人それぞれにオノマトペと図形の合致度を評価してもらい,類似度を算出した上でクラスター分析によってオノマトペを分類し,各クラスターにおいて合致度の高い図形を抽出した。その結果,日本人では3つのクラスターが,中国人では2つのクラスターが得られ,日本人のクラスターのうち2つについては意味的なまとまりが見られた。直線性・規則性・複雑性・振幅の大きさの4つの属性軸のうち,直線性は言語音から喚起されるイメージとして母語とする言語によらず普遍的である可能性,および日本人の回答にはオノマトペの表わす対象からの印象が反映されている可能性が示唆された。