快な刺激を先に評価した後の不快な刺激の評価はより不快になり(負の対比),不快な刺激を先に評価した後の快な刺激の評価はより快になる(正の対比)。このような好ましさ評価における文脈効果について,視覚刺激,嗅覚刺激の場合でそれぞれ検討した。視覚刺激においては,正と負の対比がどちらも生起することが確認されたが,嗅覚刺激においては負の対比のみが生じ,正の対比は確認されなかった。これらの結果は,嗅覚においては,快なニオイの後に続けて不快なニオイが提示された場合に,その快不快の差異に対して強い反応を示すことの重要性が反映されたものと考えられる。