抄録
環境イベントに対応した適切な運動を生成するうえで,視覚運動協応は重要である.上田ら(2013)は,視覚運動協応のメカニズムを検討する代表的な課題である,運動する目標(ターゲット)を入力装置でコントロールできる自己(エフェクター)で追跡する課題を用いて,ターゲットとエフェクターの上下関係の逆転がトラッキング成績を低下させることを示し,その影響が,トラッキングに必要な参照点の検出を要求する,空間的に広がりのあるオブジェクトを用いた場合に最も顕著であることを示した.本研究では,逆転効果が視覚運動協応場面に特有の現象かどうか,オブジェクト運動画面の観察中に自己が操作できないエフェクターのターゲットに対する相対位置を判断する非視覚運動協応課題を用いて検討した.その結果,空間的に広がりのあるオブジェクト条件で,位置の逆転が相対位置判断成績を低下させなかったため,逆転効果は視覚運動協応場面に特有の現象と判断した.