抄録
本研究では、実行機能質問紙(EFQ)により測定した実行機能の個人差とNavon課題の遂行成績およびBig Fivパーソナリティ特性との関連を検討した。研究の結果、以下2点が示された。第一に、局所処理か全体処理かの遂行方略の切り替えを要求されるNavon課題とは切り替え能力が最も関連があり、特に局所判断でその影響が示された。Navon課題では大域優先性が示されるので、局所判断はより難しく、個人差が認められたと考える。第二に、パーソナリティ特性では、誠実性と注意維持との正の相関は高いが、効率・切り替え・会話維持能力とは相関がなく、切り替えは誠実性以外のパーソナリティ特性と相関を示したことから、EFQは実行機能の異なる認知的機能の側面を測定可能であることが示唆されるが、今後詳細な検討が必要である。