抄録
成人の認知的制御の過程をとらえるために,複数のタスクを同時に管理しながら力動的に達成するタスクマネジメントを求める新朝食課題を作成し,大学生参加者による検討を行った.朝食課題はCraik & Bialystock (2006)の課題を基に,複数人数分の朝食を同時に作ることを求め,同時に「追加オーダー」に対する力動的な対応も求められる5つの課題場面から構成された.主課題である朝食作りにおける達成と副課題である配膳課題との関係をみたとき,「副課題の達成を落としながら,主課題の成績を落とさない」参加者群がおり,副課題も主課題も達成成績が落ちる参加者群よりも,主観的なタスクマネジメント力が低いことが示唆された.今後,こうした個人間差と他の課題成績の関係,また加齢による変化の検討を行っていく予定である.