心因性の身体反応(例;緊張してお腹が痛くなる)にみられるように,心と身体は相互依存的である。では,子どもは心的要因が身体現象に影響を与えることを理解しているだろうか。これまでこの問題は「病気の感染」や「心因性の身体反応」といった個別の身体現象について検討されてきた。一方,本研究では,心身相関的理解は現象依存的であるという仮定にたち,成長や病気といった複数の身体現象に関する理解を比較した。なお,ここでは心的要因として食べ物の味覚経験(おいしいと思うかどうか),身体現象として成長・病気のかかりやすさ・病気の治りやすさを取り上げた。5歳児から大学生を対象とした2つの実験の結果,身体現象に心的要因の影響を認めるかどうかは身体現象によって異なること,病気の原因については,どの年齢グループでも認めにくいこと,他の身体現象については,年齢が低いほど心的要因の影響を認めやすいことが示された。