日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第12回大会
セッションID: P1-4
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ポスター発表1 知覚・感性,社会的認知,発達・教育・学習,一般
眼窩前頭皮質への経頭蓋直流電気刺激による美的印象評価の変容
*中村 航洋川畑 秀明
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抄録

近年の神経美学的研究は,絵画の美的印象評価には眼窩前頭皮質内側部の脳機能が密接に関連していること明らかにしてきた。本研究では,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いて,眼窩前頭皮質の神経活動を一時的に変容させることによって,抽象絵画の美的印象評価における脳の因果的役割について検討した。眼窩前頭皮質に陰極刺激を行い,一時的に脳神経活動を抑制すると(陰極刺激群),絵画に対する美しさの印象は低減する一方で,絵画の醜さの印象は変化しないことが明らかになった。さらに,電気刺激を行わない統制群においては,絵画の美しさは醜さよりも早く判定されるという美的判断の優位性が認められたが,陰極刺激群においては,脳電気刺激後にこの優位性が認められなくなった。本研究の結果から,眼窩前頭皮質の脳神経活動が美的印象評価の神経生理学的基盤であり,自動的な美の認識を可能にしていることが示唆される。

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© 2014 日本認知心理学会
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