日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第12回大会
セッションID: P2-16
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ポスター発表2 記憶,思考・言語
自伝的記憶の語り直しの信念と“しあわせ感”の認識の関連性
*池田 和浩佐藤 拓荒木 剛菊地 史倫
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抄録
本研究は、個々人の自伝的記憶の語り直しに関するポジティブな信念が、日常的なしあわせ感への認識にどのように影響するのかを明らかにした。大学生278名は語り直しに関するポジティブな信念尺度(20項目)および幸福感尺度33項目に回答した。分析の結果、語り直しの信念は、記憶を語ることによる心理的効果の認識に関する“効用感”と、語り直しを行うことへの責任感に関する“道義的信念”の2因子から構成されることが確認された。しあわせ感については“好奇心”“些細な幸せ”“全体的満足感”の3因子に分かれた。また、語り直しの効用を高く維持することと、語り直しの道義的信念の高さは、相反的に全体的なしあわせ感に影響を与えていた。つまり、語り直さねばという語り直しへの責任感がしあわせ感を減少させると推察される。このことは語り直しの効果が、語り手のパーソナリティのなかのある種の楽観性に影響を受ける可能性を示唆する。
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© 2014 日本認知心理学会
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