抄録
我々は、円滑な人間関係を確立・維持するために言語的配慮(ポライトネス)を行っている。ポライトネスには、他者に邪魔されたくないという欲求に配慮する方略(ネガティブポライトネス)と、他者に認められたいという欲求に配慮する方略(ポジティブポライトネス)の2方向の方略がある。本研究では、fMRIを用いて発話産出におけるポライトネスの神経基盤を検討した。実験参加者は、MRIの中で、日常場面で些細な失敗をした架空の友人に対して、 (1)ポジティブポライトネスを用いる、(2)ネガティブポライトネスを用いる条件、(3)ポライトネスを用いない、のいずれかの条件で発話の産出を行った。その結果、ネガティブポライトネス特異的な領域として左眼窩前頭皮質前部および右眼窩前頭皮質後部を、ネガティブポライトネス特異的な領域として右扁桃体を、両方のポライトネスに共通して関与する領域として右外側眼窩前頭皮質後部を同定した。