抄録
従来の感情・情動と記憶研究のパラダイムでは,情動を喚起する画像や単語等の刺激を提示し,その刺激の属性としての感情価や覚醒度に基づいて独立変数を設定し,記憶成績に及ぼす影響をみるということが一般的であった。また,学習材料の提示時に,刺激の感情価や覚醒度(感情の強さ)を実験参加者に評定してもらうことも少なくない。本研究では,情動喚起刺激が元々持っている属性としての感情価・覚醒度だけでなく,感情価や覚醒度の評定行動自体が符号化としての効果を持つか否かを検討した。Kato(2014)は,評定を求める際に“その刺激によって参加者か喚起されたもの”と“その刺激自体に内包されているもの”とを区別し,両者が異なる情動を測定しているということを示した。本研究では刺激の覚醒度に対する喚起評定と内包評定の符号化としての効果を比較した。その結果,内包評定が先行する場合にのみ,喚起評定後の自由再生成績が高くなった。