“賛美”に対して聴き手が抱く印象の構造を明らかにするために,賛美歌を8曲準備し,40語の評価語を用いて質問紙調査を行った.因子分析の結果,平穏,快活,荘厳,寂寞,および単純の5因子が抽出された.これらは,“賛美”がおだやかな要素や明るく生き生きとした要素,おごそかな要素など多くの側面を持っており,それらの異なった様々な要素を感得したことの表れであると解釈できる.また,因子ごとに,クリスチャンとノンクリスチャンの“賛美”に対する印象を比較した結果,平穏以外の4因子において両者の間に差がみられた.これは日常的に“賛美”に触れる機会が異なっており,“賛美”に対する親近性も異なっているためであると考えられる.今後は,“賛美”の曲調や歌詞などに着目し,クリスチャンとノンクリスチャンの“賛美”に対する印象の共通点や違いを,より詳細に検討していくことが必要であろう.