本研究は一般の大学生を対象に,どのようなときに動機づけが増減すると認知しているのかの,素人理論を明確にすることを目的とした。大学生66名に,中学 生がどのようなときにやる気(動機づけ)が上がる/下がると思うか,自由記述による回答を求めた。また,記述された出来事に対して,自身がどの程度その出 来事を体験したことがあるかの評価を求めた。動機づけの増加に関しては計10種類,減少に関しては計12種類に記述を分類した。動機づけの増加に関して は,既存の動機づけ理論とも対応するカテゴリに多く記述がみられたが,試験前の焦燥感などといった“期限切迫”や,いかに勉強がしやすい環境下が重要であ るといった記述もみられた。動機づけの減少に関しては,勉強することを強要される“干渉”や,睡眠不足などの基本的欲求の欠如がみられた。