抄録
本研究では, 記銘項目及びその関連項目を偶発的・意図的に学習した場合, 関連項目の違い(カテゴリ名・形容詞)が, 記銘項目を再生・再認する際にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。また, 記銘意図にかかわらず, (a)カテゴリ名呈示条件では, 記銘項目の近接概念の出現可能性が増加するため, 非呈示項目の誤再生・再認率が増加する, (b)形容詞呈示条件では, 記銘項目の概念を限定するため, 非呈示項目の誤再生・再認率が減少する, という仮説を立てた。その結果, 偶発的学習条件下では, 再認においてのみ, 仮説を支持する傾向が認められた。一方, 意図的学習条件下においては, 統計的には有意ではないものの, 再生・再認において仮説を支持する傾向が認められた。