抄録
靴の写真画像を題材に,閾下呈示による反復単純接触が商品評価におよぼす影響を検討する実験を行った。閾下単純接触の累積効果を検討するために,閾下呈示の頻度を系統的に操作し,効果の般化を検討するために,評価時の商品画像を,閾下呈示時と同一角度で呈示する条件と別角度で提示する条件を設定した。数字の偶奇性判断課題においてマスク呈示の直前に靴の写真画像を16ミリ秒間呈示した。呈示角度は斜めと正面の2条件,呈示頻度は1回,10回,20回,30回,40回の5条件を設定した。商品評価は7段階尺度の質問紙形式で実施した。実験の結果,「購入したい」および「好き」という商品評価の中心的な次元において,閾下呈示の頻度が多くなるほど評価が低下するという,通常の単純接触効果とは逆の傾向が観察された。原因としては,ディストラクタ評価低下効果に類する現象が生じた可能性などが考えられる。