抄録
迷信的信念に関する先行研究の多くは,超常信奉が思考スタイルによって予測可能であることを示している。本研究は,これら先行研究で見られた信念と認知能力・スタイルの間の関連性が,疑似科学的信念,特に通俗的心理学神話においても観察されるかどうかを検討した。103名の学部学生が,認知スタイル・能力,科学リテラシーおよび通俗的心理学神話への信奉の程度を測定する質問に回答した。重回帰分析の結果,通俗的心理学神話への信奉は,分析的思考スタイルのみによって予測されることが示され,直観的思考スタイル,認知能力,科学リテラシーは予測力を持たないことが示された。この結果は先行研究に沿っているものの,分析的思考傾向が強い者ほど信念も強いという,先行研究とは逆のパターンが観察された。この違いは,先行研究との参加者集団の違い,特に文化に依拠した思考スタイルの違いから生じた可能性がある。