抄録
スマートフォンアプリによって,質の高いトレーニング法を広く提供することができれば,治療コストの低下など様々なメリットが期待される。一方,トレーニングの遠隔実施は参加者のドロップアウトを招きやすい。そこで本研究では,上田・澤山(2015)の実験参加者について,ドロップアウト要因を検討することを目的とした。結果,統制群では謝礼動機の高さに応じてドロップアウトしにくくなるのに対し,実験群ではこの関係が認められず,全体的にドロップアウトしやすい傾向が認められた。この理由として,実験群ではターゲット刺激が常に中性語の位置に出現するため,トレーニングが単調に感じられた可能性等が示唆された。常に中性語にだけ注意を向けさせるトレーニングの功罪が示唆されたといえる。