抄録
非言語コミュニケーションの特徴は,日本と中国で異なることが知られている (布井他, 2013)。本研究では,音声の音量という非言語情報に着目し,音量の違いが印象評価に及ぼす影響について検討を行った。実験では,日本人と中国留学生に対して,日本語の発話を呈示し,その発話に対しての印象評定を行わせた。発話の呈示は,大・中・小3種類の音量で行われた。その結果,音声音量が印象形成に影響を及ぼしていることが確認された。さらに,文化による音量の影響の違いは鈍さ・荒々しさ印象においてのみ見られた。一方で,音量と発話に対しての好ましさの関連に日中での違いは見られず,音量が大きいほど好ましいと判断された。