特定の思考を無理に抑制した後に,かえってその思考が増加する「リバウンド効果」はよく知られている。本研究では,本人にはポジティブな「プライド」にかかわる思考を抑制/促進した後,どのような変化が生じるか検討を行った。研究では,大学(院)生184人を対象に,5条件の実験を行った。「Authentic Pride(適正なプライド)」あるいは「Hubristic Pride(傲慢な、自信過剰なプライド)」にかかわる内容を考えないようしながら,あるいは積極的に考えるようにしながらの「20答法」(自分はどんな人間だろうか)の回答を求める4つの条件(1,AP抑制 2,AP促進 3,HP抑制 4,HP促進)と制限のない20答法(5,統制条件)。5つの条件とも,直後に,制限のない20答法を行わせた。その結果,自分のプライドの思考自体が抑制しにくく,リバウンド効果も見られないことと,HP促進条件後にネガティブな記述数が有意に減少する特異的なアフターエフェクトが見られることが明らかになった。