日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第14回大会
セッションID: O6-04
会議情報

口頭発表6 日本語セッション6 ((知覚・感性2)
個人的な愛着のあるモノを見たときの認知処理
*入戸野 宏
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

他人には無価値でも,自分には特別な思い入れのあるモノがある。そのような愛着あるモノは自己の延長とみなされる。一方,自分が手に入れたモノの価値を高く評価する単純所有効果が知られている。モノに対する愛着と単純所有効果を区別するために,参加者が所有する2種類のマグカップの写真を刺激として事象関連電位を測定した。実験は参加者内比較デザインで行った(N = 20)。愛着条件では参加者が愛用するマグカップの写真を,単純所有条件では実験参加の謝礼としてその場で受け取ったマグカップの写真を,それぞれその他5枚のマグカップの写真に混ぜてランダムな順序で提示した。愛着条件では,写真提示から約300 ms以降に生じる事象関連電位のP3と後期陽性電位が自己の所有物に対して大きくなった。単純所有条件では,そのような差は認められなかった。個人的な愛着のあるモノは,単なる所有物とは異なる認知処理を引き起こすといえる。

著者関連情報
© 2016 日本認知心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top