本研究は、幼児を対象に触感の感性評価と触感の表現を明らかにすることを目的とした。予備調査として、幼児を対象に40の触素材を提示し、素材の違いを検出できない素材を除き、計18素材を本試行の素材とした。実験では、視覚情報を遮断する素材箱に触素材を入れ、参加者が素材を探索した後、快不快の感性評価を求め、素材の触感をオノマトペで表現した。その結果、幼児は、素材の快不快評価について多くの素材を快と評価した。オノマトペについては、素材の快不快とオノマトペの音韻とが必ずしも関係していないことが示された。加えて、オノマトペに付随するエピソードから、触覚の検出特徴である温覚について、「あたたかい」と評価された素材は、タオル生地(綿100%)、コルク、綿、ウレタンフォーム、フェルト、人工芝生、シープボアであることが明らかになった。これらの結果から、幼児の情緒に働きかける「あたたかい」素材が示唆された。