本研究は,病院薬剤部において医薬品取り揃え時に発生する取り間違いエラーについて,発生を予測し,防止策を提案することを目的とした。医療機関において約2か月間に発行された処方箋から,層化無作為二段抽出法によって約1000枚の処方せんを抽出し,処方された医薬品の組み合わせを共起ネットワークとして描画し,実際の取り間違いデータと比較した。検討の結果,正しい処方医薬品と取り間違われた医薬品は特定の症状で処方される医薬品との関連が強いネットワーク上にあることが示された。いわゆる“思い込み”エラーとして,薬剤師が医薬品を取り間違える要因の一端が明らかになった。