抄録
自身の能力についての知識であるメタ認知に関する研究において、確信度の正確性の観点からType2信号検出理論が近年注目されている。本研究では脳波を用い、知覚・記憶の二課題に対しType2信号検出理論を用いた検討を行った。実験では、知覚課題については、2つの刺激のうちより明るく見える方の位置を同定する課題を行い、記憶課題については、50単語をリストで一挙に提示したのち、再認を行った。それぞれ刺激提示時の事象関連電位とその刺激に対する確信度の関連性について検討した。結果、両課題で確信度が高いほど400ms以降特徴的な脳波成分が見られた。また記憶課題において、確信度が正確な人ほど400ms前後に特徴的な陰性成分が見られた。従って、刺激提示の段階において知覚判断に対しても記憶判断と同様の時間帯に確信度に関する処理が行なわれていること、その時間帯の処理の深さが正確性に影響していることが示唆された。