日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第15回大会
セッションID: O5-02
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口頭5 《知覚・感性2》
視覚イメージ想起中に視知覚処理を抑制する機能の実在性について
-同一モダリティと異種モダリティの知覚課題の比較から-
本山 宏希菱谷 晋介
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抄録
本山・菱谷(2015)は,視覚刺激を観察している間と比較して,視覚イメージを想起している間は,外界の視覚刺激の検出が低下することを示した。彼らは,視覚イメージの想起を促進させるため,同一モダリティの知覚刺激の検出を抑制する何らかの機序が作動したと考えた。刺激観察とイメージに要する認知資源に差がなければ,この解釈は妥当である。しかし,後者の方が前者よりも多くの認知資源を要するため,前述のような結果が得られた可能性もある。そこで,視覚観察と視覚イメージの間で,使用する認知資源量に違いがあるか否かを明らかにするため,両条件間で聴覚課題の成績に差異が生じるか否かを検討した。その結果,聴覚課題成績に違いは見られなかった。すなわち,本山・菱谷(2015)の結果は,条件間で要する認知資源量に違いがあったためではなく,視覚イメージ想起中に視知覚処理が抑制されたために生じたと考えられる。
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© 2017 日本認知心理学会
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