情報技術の台頭により,私たちは他人の意見を手軽に参照できるようになった.先行研究 (藤崎・本田・植田, 2018)ではレイティングサイトを題材に,商品の購入対象(自分/他人)によって,この他人の意見の捉え方が変化することを明らかにした.実験は,商品選択の対象を教示した上で,2つの評価分布(平均値は近いが一方は高分散,もう一方は低分散)を呈示し,購入したい方を選択させるものである.この研究では,複数の問題をまとめて分析していた.そこで本研究では,この行動データを用いて,問題が評価分布の選択に与える影響について分析した.結果,問題の効果が観察されるケースがあった.具体的には,参加者は高分散の平均値に応じて選択傾向を変えた.これは,低分散に対し,高分散の方が問題間の分布の形の変化を視覚的に認識しやすかったためであると推測される.最後に,本研究が現実のレビューサイトにもたらす影響について議論する.