人は顔を見ると自動的かつ瞬時に「いい人そう」「知的」など、様々な印象を知覚する。社会の中で生きる上で、目の前の人物が自分にとって敵か味方かを即座に検出する能力は重要であり、現在盛んに研究が行われているが、こうした印象知覚の発達についてはあまり研究が進んでいない。本研究では、印象知覚の普遍性及び文化差について発達的観点から検証するため、日本人幼児と成人を対象とし、CGの顔画像に対する印象判断についてアメリカ人のデータとの比較を行った。その結果、幼児では、信頼感と支配性は年齢が上がるにつれて判断が安定しアメリカ人の判断に近づくが、成人では支配性はアメリカ人の判断と一致するが信頼感は一致しないという結果であった。このように、顔からの印象判断には文化や年齢を問わず普遍的である部分もあるが、印象の種類によっては文化差がみられることが示唆された。