日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第17回大会
セッションID: O1-05
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口頭発表1:知覚・感性 (1)
オブジェクト操作の主体感に基づく視覚処理変容の時系列変化
*中島 亮一
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抄録

オブジェクトを思い通りに操作していると、それの動く方向に注意がひきつけられる。Nakashima (in press)は、実験参加者に画面内の円刺激をキー押しにより一方向に動かすよう教示したが、実際には円が90%(高主体感)、50%(低主体感)の確率で操作方向へ動くブロックを設けた。また、ブロック中、円が動かず、画面内にTとLの文字が呈示され、Tの向き判断を行う視覚課題試行を混ぜた。実験の結果、高主体感条件でのみ、円を動かそうとした位置での視覚課題成績が高かった。本研究では、主体感が生じにくい場合、視覚処理の偏りが全くないのかを検討するため、この実験データをブロックの前・後半に分けて分析した。その結果、低主体感条件であっても、ブロック前半では高主体感条件と同様の視覚処理の偏りが見られた。つまり、思い通りに動かないオブジェクトの操作時には、最初は動かそうと意図した位置への注意の移動が起こるが、徐々にそれが消失していくと考えられる。

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© 2019 日本認知心理学会
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