主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第19回大会
回次: 19
開催日: 2022/02/28 - 2022/03/01
近年,EEGマイクロステート (EEGms) と呼ばれる,ある瞬間の脳の空間表現パターンに焦点を当てた脳波解析アプローチが注目されている。これまでにEEGmsと心理的機能との関連が検討されているが,各EEGmsがどのような心理的過程を反映するのかについては知見が一貫していない。本研究では,オドボール課題を用いて感覚刺激の入力や認知処理に関連したEEGmsについて検討するとともに,従来の特定電極の波形を扱うERPのような解析手法とEEGmsの関係について整理を試みた。試行間・参加者間で加算平均した20名の脳波データについて,課題時には課題陽性-陰性状態を反映することが示唆されているmsCやDが特定潜時で安定して見られた。また,刺激モダリティが異なる課題間の頭皮上分布は大きく異なることも示唆された。時系列データを時間方向に切り出すERPと,ある瞬間の全体情報を1つのまとまりとして捉えるEEGmsは相補的であり,両指標を併用することが有用であると考えられる。