抄録
本稿では、大学生に求められる力、特に思考力について、大学生と大学生以外ではどのように考えるのか、そしてそれらはどのように異なるのかという視点から検討した。具体的には、大学生に求められる力について、自分の考えを記述し、他者にインタビューを行うことで他者の考えをまとめてもらうという形式で、データを収集し、その結果を分析した。その結果大学生に求められる力として、大学生も社会人も「考え抜く力」を、社会人は大学生よりも「チームで働く力」を重視していた。そして「考え抜く力」の分析から、大学生はレポート作成や課題提出に必要な力を大学生に求められる力としているのに対し、社会人は問題発見解決に至る一連のプロセスに必要な力を大学生に求められる力としていると解釈された。