抄録
ヒトの行動は,知覚,注意,記憶,言語,実行機能といった多様な認知機能の複合によって支えられている.個人の認知機能の特性(認知特性)を捉えることで,ヒトが行動する様々な領域(教育や医療など)で役立つ可能性がある.本研究の目的は,大規模データから個人の認知特性のパターンを探索的に分類することである.データは,米国Human Connectome Projectのデータベースに登録されている1185名のデータを利用した.実験参加者の認知機能は,NIH toolboxに含まれる認知機能検査バッテリーを用いて評価された.分析は,データの次元削減を行った後,クラスター分析を行った.その結果,3つのクラスターに分類された.1.言語・記憶課題を得意とするパターン,2.言語・実行機能課題を得意とするパターン,3.処理速度・実行機能課題を得意とするパターンに分類されることが示された.