日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第19回大会
セッションID: P1-B06
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ポスターB
運動に対してポジティブな顔が呈示されると自己主体感が上がる
*中村 杏奈田中 章浩
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抄録

自己主体感とは,自分の運動が外部の結果を引き起こしたという感覚である。自らの運動と結果が連動するとき,その時間的間隔を短く感じるIntentional Binding (IB) が生じる。IBは,自己主体感の潜在的な指標として用いられてきた。人は,一般的にポジティブな結果に対して,ネガティブな結果と比べてIBがより強く生じる,すなわち,自己主体感を強く感じる“self-serving bias”の存在が知られる。また,抑うつ状態ではself-serving biasが弱まることが指摘されている。しかし,①音声を用いた検討が多く,日常的に他者からのフィードバックとして多いことが想定される顔を用いた検討は不十分であり,②抑うつ状態とIBで測定されるself-serving biasの関係は直接検討されてきていない。そこで,本研究では,運動の結果として他者の感情顔を呈示した際のIBを測定し,感情顔に対するself-serving biasと抑うつ状態の関係を検討した。結果として,self-serving biasの存在は支持された一方で,抑うつ状態との関係は限定的であり,今回はその考察を行う。

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© 2022 日本認知心理学会
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