抄録
食品の「おいしさ」を評価することは、「おいしさ」自体が多岐に渡ることに加えて、食べる側の多様さによって複雑となっている。本研究では、食品を食べる側であるヒトを評価するにあたって、食品摂取時の情動の変化に着目した。食品摂取とそれに伴って起る情動の関係解明を目的として、覚醒-眠気、快-不快の2次元からなるラッセル円環モデルに基づいた情動の定量化を試みた。まず数日以内に食べた食品の中で印象に残ったものについて尋ね、摂取時の気分を想起してもらい、自由記述にて情動に関する語句を収集した。次に得られた語句について、ラッセル円環モデル上のどこにあてはまるか、アンケートにて座標値を収集した。アンケートの結果から、ラッセル円環モデルに対応可能な語句を選抜し、食品摂取時の情動座標を作成した。今回作成した座標を用いて、各語句と食品の関係について議論する。