抄録
私たちは他者とコミュニケーションを取るとき、自己の主観的な状態が他者に知られていると信じる傾向があり、これを透明性錯覚という。また、自己の身体の中の感覚である内受容感覚が敏感であることということは、その自己が個人の身体で起きている内部事象を正確に知覚できるということを意味し、内受容感覚は自己の感情を認識することと深い関係があることが示唆されてきた。そこで本研究では、大学生を対象とし、緊張場面における透明性錯覚に及ぼす内受容感覚への気づきの影響を、質問紙調査 (内受容感覚への気づきの多次元的アセスメント) により検討した。その結果、自己の緊張度の知覚には「注意制御」と「気が散らない」という因子、他者に対して自己の緊張が知られたかもしれないという透明性錯覚と透明性錯覚に対する確信度には「気が散らない」という因子が関係していることが明らかとなった。