日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第19回大会
セッションID: P2-C20
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ポスターC
抑うつ傾向者によるポジティブな自伝的記憶の想起視点
―否定的自己評価の影響の検討―
*永田 奈津季関口 貴裕
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抄録
過去の出来事の想起には,行為者として場面を追体験しているかのような一人称視点と,観察者の立場から場面を再現する三人称視点がある。これに関し,Lemogne et al. (2006) は,うつ病患者は三人称視点からポジティブな記憶を想起する割合が非臨床群よりも高いことを発見した。この結果は,うつ病者が持つ否定的な自己概念とポジティブな出来事の記憶が合致していないため,心理的に距離を置くことで生じると解釈されている。そこで本研究では,この仮説を実証するため,非臨床群における抑うつ傾向の高低に加え,否定的自己評価の程度を独立変数として測定し,先行研究と同様の調査を行った。調査の結果,抑うつと記憶想起時の三人称視点との関連は認められなかった一方で,否定的自己評価が高い人はネガティブな記憶に比べて,ポジティブな記憶でより三人称視点想起の程度が高いという,仮説を支持する結果が得られた。
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© 2022 日本認知心理学会
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