抄録
教科のような事物に対して,人は色イメージを抱く。色そのものが我々の行動に強く影響することは広く知られているが,色イメージでも同様の影響がみられるのだろうか。本研究では,国語―赤,数学―青,理科―緑,社会―茶という教科の色イメージ (山下・森田, 2020) を用いて2つの実験を行った。研究1では,大学生22名を対象とし,教科名の背景色 (赤・青・緑・茶) を操作して教科名を判断するストループ課題を行った。研究2では,大学生40名を対象とし,4教科のノート画像の色を操作して特定の教科のノートを探索する視覚探索課題を行った。いずれの課題でも,色イメージに一致した条件で不一致な条件より反応が速かった。教科の色イメージについては,「お湯―赤」などのように確固とした結びつきは確立されていないが,それでも行動に影響すること,デザイン等において,適切な行動を導くためには,色イメージの適切な使用が効果的であることが示された。