抄録
マスク着用が顔を小さく見せる効果やマスク着用による顔の魅力度変化に関する先行研究はあるが、マスクの色による顔の大きさ知覚の変化はまだ研究されていない。コロナウイルス感染の拡大に伴いマスクの色や模様に多様性が容認され選択肢が豊富になったため、本研究ではマスクの明度が顔の大きさ知覚に及ぼす影響を明らかにすることを目的として心理物理学的測定法による実験を行った。具体的には、形状を同一にした白・グレー・黒のマスクを平均顔に被せた画像を標準刺激とし、顔の下半分の幅を段階的に変化させた画像を比較刺激(マスクなし)として使用した。標準刺激と比較刺激を1枚ずつペアにして提示し、参加者にどちらの顔がより大きく見えるかを選択させる試行を繰り返し、階段法のアルゴリズムによりマスク着用の顔の大きさと同じに見える比較刺激の顔の大きさを算出した。その結果、白マスクに比べて黒マスクが顔を小さく見せることが示された。